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2020.06.19 

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遺言書を自分で書いてみる

 将来、自分が亡くなった場合、それまで大切にしてきた財産は、法律の定めに従って相続人に引き継がれます。相続人がいない場合には、最終的に国に帰属することもあります。
 もし、自分の財産を誰か大切な人へ相続させようとする場合、遺言書の作成を考えてみてはいかがでしょうか。

 遺言の内容は基本的に自由です。相続人の誰かに相続させる内容でも良いですし、会社や法人に取得させることでも良いです。また、例えば子供に相続させる場合に、奥様の療養看護をしっかり行わせることなど、条件を付することもできます。
 相続債務は、原則として各相続人が引き継ぐこととなります。遺言において、一応、債務負担についても記載しておくこともできますが、債権者の立場も考慮し、その承諾がないと遺言書の記載のとおりにはなりませんので、債務については遺言しないことの方が多いと思います。
 また、相続人のうち、配偶者、子、父母(直系尊属)には、遺言によっても奪うことのできない固有の利益(遺留分)が法律上認められています。遺言者としては、この遺留分に配慮した遺言書を作成した方が、後々相続人間の揉め事を招かないで済むと思いますが、遺留分に抵触する内容の遺言書でも有効です。この場合、遺留分を侵害されたと主張する相続人が、他の相続人に対し、侵害額分の金銭を請求することができる仕組みになっています。

 自分で遺言書を作成する場合、幾つか注意を要することがあります。
一つは、文章を「自書」する必要があります。パソコンやワープロで作成したままのものは遺言として未だ有効とは言えません。もっとも、不動産の登記簿謄本や、預貯金通帳のコピーを一緒に綴じ込む方法によって遺言書を作成できるようになり、以前より自書の負担は少し減っています。預貯金通帳のコピーなどは、自書部分とは別の用紙に行って下さい。
 次に、遺言書には遺言した「日付」と遺言者の「氏名」を自書します。日付は「令和2年7月4日」など、具体的な特定日が分かるようにします。氏名も通称名よりも、戸籍に記載され、公的に証明できる名前の方が良いです。
 遺言の相手方の記載について、法律では特に規定はありませんが、例えば、「長男の誰それ」、「姪の誰それ」のように、出来るだけ特定できる書き方にして下さい。生年月日を記載する方法も良いと思います。特に不動産登記などの手続きにおいてスムーズに行うための、結構重要なポイントになります。
 また、遺言書には氏名の横に「押印」をします。認印でも良いです。この押印した印鑑で数ページにわたる遺言書を契印し、全体として一つの文書に仕上げます。不動産登記簿謄本や預貯金通帳のコピーを綴じ込む場合には、それらの余白に氏名の記載と押印をして下さい。
 このように遺言書を自分で作成する場合、形式的に注意しなければならない点が幾つかあります。お客様よりご相談を頂く場合、このような書き方に関するものもあれば、具体的な内容をお聞きして、案文を作成することもあります。この場合、最終的にはお客様ご自身で実際に書いていくことが必要になります。
 遺言書の保管方法については、法務局による保管制度も含めて、また別の機会にお話しさせて頂けましたらと思います。
                                              德丸修一
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