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2020.09.04 

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遺産分割協議の解除と再協議

 相続人の人たちが遺産分割協議を行っていく中で、例えば、不動産の名義を全部自分にする代わりに他の相続人に現金を交付したり、あるいは親の世話をする代わりに他の相続人より多くの財産を取得するなど、相続するとともに何かしらの義務を伴う場合もあり得ます。このような、義務を伴う遺産分割協議も有効です。
 義務を伴う遺産分割協議が成立した場合、中にはその約束、義務が十分に守られないことも考えられます。そのような場合、裁判手続きなどを利用することによって損害賠償請求や義務の履行を求めることとなります。
 約束を守ってくれない相続人がいる場合、他の相続人からすれば、遺産分割協議、話し合いを解消して、いったん白紙に戻したいと思ってしまうのも、もっともな話です。ところが、一般に遺産分割協議、話し合いは、相続人の一人から一方的に解消、解除できないとされていることに注意が必要です。売買契約などでは契約内容を守らない相手に対し、一方的に契約解除を主張できることと対照的です。

 このような、せっかくの遺産分割協議結果が守られていない場合、相続人の皆さん全員で、改めて遺産分割協議を行うことが可能です。遺産分割の再協議は認められています。この再協議により話し合いの内容を見直す、あるいは改めて義務履行を確認し、履行を促すなど、ケースに応じて話を詰めていきます。再協議の中では、既に成立した内容を白紙に戻す、ということもできます。これは遺産分割の合意解除を意味します。一方的な解除ではなく、合意に基づく協議の解消です。
 相続人の皆様による再協議がなかなか整わない場合、改めて裁判所を利用することも考えられます。

 遺産分割協議は一人の者からの白紙撤回が容易ではないことからしますと、各相続人のお互いの関係によっては、より一層慎重に話を進めた方が良いこともあろうかと思います。
                                  徳丸修一
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