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2020.10.02 

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特別受益と配偶者の相続分

 具体的な相続財産額を確定していく際、共同相続人が「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与」を受けていた場合、これらの価額を「特別受益」財産として相続財産の価額に含めて計算します。このことをよく特別受益財産の「持戻し」なんていう言い方をします。そして、特別受益者の具体的な相続分は、この特別受益分を差し引いて計算されることとなります。特別受益財産の持戻しは、より平等に相続人を扱おうとする被相続人の意思を尊重している、あるいは遺産の前渡しのようなものであることが制度の背景にあるようです。
 ちなみに、遺留分を確定していく際にも「特別受益」を考慮しますが、今回とは別のテーマですので、分けて考える必要があります。

 特別受益制度が上記のような背景を基にし、被相続人の方の意思を尊重する制度となっていますので、贈与等をする被相続人が「持戻し」を行わせない意思を表明している場合、「持戻し」は行われないこととなります。「持戻し免除の意思表示」といった言い方をしたりします。

 長く20年以上の婚姻関係にあるご夫婦間につきましては、居住している建物とその敷地について、特段の意思表示を要せず、原則「持戻し」を行わないこととなっています。例えば、居住している建物とその敷地の名義人が、将来のことを見据えて他の一方配偶者に生前贈与した場合、持ち戻し免除の意思表示したものと推定され、相続発生時、相続財産額に組み込まれず、配偶者の具体的な相続分から差し引かれずに済むこととなります。相続発生後の配偶者の方の生活保障に配慮した制度になっていると言えます。なお、特別受益財産の価額評価は相続開始時点に基づきます。価格変動のあるような不動産ですと、贈与時ではなく、その後の相続開始時点の価額に計算し直す必要があります。

 今回はやや細かいお話になってしまいました。特別受益財産の一般的な範囲などについては、改めてお話させて頂けましたらと思います。
                                       徳丸修一
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