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2020.12.18 

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共有の意味

 相続人が複数いる場合や、相続財産が元々複数の所有者であったりする場合、それら財産に対する所有の仕方を、共有と言います。
 共有は、各所有者の財産に対する所有割合で表現されます。例えば、配偶者と子1人の相続人がいる場合ですと、亡くなられた方の各財産に対し、2分の1ずつの共有持分を有する、という言い方をします。この、「2分の1の共有持分を有する」ということは、財産に対して丁度半分で区切り、その半分を使用できる、ということではありません。財産全部の使用をすることはできます。共有持分が10分の1、100分の1であったとしても同様です。ただ、賃貸などのある一定の行為をする場合や管理費用を負担する場合に、共有持分に応じた権限、負担が発生することを意味します。
 ちなみに、共有財産の全部を丸ごと誰かに売るような場合には、共有持分をより多く持っている者が単独で売ることができるのではなく、共有者全員で売る必要があります。共有持分が100分の1しか有していない者も所有者の一人ですので、売買の当事者として、あるいは少なくとも共有財産処分の同意権者として登場する必要があります。
 他方、各共有者は、それぞれの共有持分自体を他の共有者に、あるいは別の第三者に譲渡することができます。共有持分自体の譲渡は、共有財産全部の譲渡とは異なり、単独で行うことができます。

 共有物の使用方法は、共有者同士の取り決めである程度自由に決められます。ある共有状態の土地について、Aさんは西側半分のみを使用し、Bさんは東側半分を使用するといった取り決めをしておくことができます。これは、使用方法を合意で決めているだけですので、Aさん、Bさんは共有土地全部を所有していることに変更はありません。

 では、先の例でAさんは西側を単独所有、Bさんは東側を単独所有しようと決めた場合、それは共有関係の解消を意味します。この場合、特に土地については複雑な手続きを要します。土地家屋調査士の先生が土地を2つに分筆し、2個の土地になった後、それぞれの土地は未だAさんBさんの共有状態ですので、お互いに所有しない土地の共有持分を交換する契約を結びます。更に、分筆手続きもそうですが、共有持分を移転したことについて、法務局に不動産登記申請をすることになります。この点については、思ってたより大分ややこしいな、と思われるかもしれません。

 共有状態の扱いは、債権や株式、そして不動産などの財産の種類によって、具体的に微妙な違いがありますが、おおよその考え方としては、以上のようなものとなります。
                                         徳丸修一
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