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2021.01.29 

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遺産分割か共有物分割か

 相続人が複数人いる場合、各相続人は、法律の定めに従った相続分を有します。この相続分はプラスの財産、マイナスの財産(債務)のいずれも含みますが、これらのうち、相続人は、ある特定の財産に対する自己の相続持分を他の者に譲渡することができます。この点は相続関係ではない共有持分の譲渡と同様です。例えばある特定の土地に対する自己の相続持分を、他の共同相続人や、それ以外の第三者に譲渡することができます。譲渡していない他の財産や債務については、遺産共有のままです。
 もし、相続人以外の第三者が特定財産の相続持分を取得した場合に、その第三者と相続人らによって共有状態を解消するための話し合いを行おうとする場合、それは遺産分割協議ではなく、共有物分割協議を行うことになるとされています。遺産を構成していた特定財産の持分を第三者に譲渡した場合、譲渡された共有持分は相続人の立場を離れ、相続財産を構成しないこととなります。共同相続人らは、譲渡された共有持分を除いた、それ以外の共有部分やその他の相続財産について、遺産分割協議を行い、最終的な財産の帰属先を決めることとなります。この遺産分割協議には共有持分を譲り受けた第三者は関与しません。

 遺産分割協議と共有物分割協議は、共有関係をどうすべきかを利害関係人同士で話し合うのを基本とする点で共通していますが、法律上の根拠が異なり、協議に参加すべき者を誤ると、協議そのものが成立していないことになってしまいますので、注意を要します。
                                            徳丸修一
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