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2021.02.26 

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換価分割

 遺産分割をする方法として、換価分割と言われているものがあります。例えば相続財産である特定の土地や建物を売却処分し、その売却代金を遺言の定めに従って、あるいは共同相続人による遺産分割協議によって配分する、という方法です。厳密に捉えますと、売却代金は遺産を構成しませんが、遺言書のよって、あるいは相続人全員が遺産分割の対象に含める旨の合意をすることによって、相続手続きにおいて売却代金を配分することが可能となります。従いまして、換価分割を行おうとする場合、遺言書や遺産分割協議書にその旨の記載を必要とします。記載がないと、売却代金は相続財産とは別個独立の財産(現預金)とされ、相続手続きから切り離されることとなります。このことは、相続に関する各種税金に関する特例を受けられなくなる虞がありますので、注意が必要です。
 換価分割の方法としましては、法定相続人全員の名義で特定相続財産を売却処分する方法の他、ある特定の相続人に換価分割の便宜上名義人になってもらって、名義人になった相続人が売却処分後必要経費を差し引いた上、法定相続分に従い、あるいは遺言書、協議書の内容に従って売却代金を分配する方法があります。相続人が多い場合には、後者の方法を採用するのも良いかもしれません。不動産に関して言えば、換価分割のために、特定相続人名義に相続登記を行うこともあります。
 換価分割を用いた相続手続きにおいても、先にも述べました通り、税金に関する検討は欠かせませんので、税理士の先生を交えて話を進めた方が良いです。例えば、換価分割のための相続登記後の売却代金の分配について、基本的に贈与税がかからないことや、相続税の他に、売却代金の取得割合に応じた譲渡所得税を考慮しなければならないこと、さらには相続納税額の一部を譲渡所得税の計算の際に取得費として加算できる特例の適用を受けられるかどうか、など、税務上検討すべき点があります。

 換価分割は、売却代金から登記手数料などの費用を差し引いて分配を行います。遺言書や遺産分割協議書等において、可能な限り費用負担の方法についても定めていた方が、後日の紛争を避けるためにも望ましいと思います。
                                          徳丸修一
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