会社の事業を一旦休止し、税務署等へ「異動届出書」を提出するなどして休業を選択した場合でも、一定の定期的な手続きが必要になるものがあります。税務関係でいえば確定申告がそれにあたるでしょうが、法務関係で申しますと、役員の任期満了に伴う変更(再任)登記手続きがあります。休業を選択したとしても、取締役の地位は存続し続けますので、任期は中断せず進行します。会社の種類が「有限会社」となっている場合は、基本的に任期が無いので法務局での再任登記手続きは不要ですが、「株式会社」の場合には原則として2年に1回、役員の改選時期が到来するため、法務局へ再任登記手続きをその都度行う必要が生じます。
役員変更(再任)登記には登録免許税が最低1万円かかりますので、もし、休業中の各負担を軽減しようとお考えであれば、役員の任期を10年に延長することも検討してよいかと思います。ただ、株式を譲渡することに会社の承認を要する、いわゆる「非公開の会社」であることを要します。自社が非公開の会社かどうかは、お手元の会社定款や、法務局の発行する会社謄本(現在事項全部証明書)で確認することができます。
役員の任期を10年とすることができれば、定期的な役員改選の時期は10年に1度到来することとなりますので、基本的に10年に1回の役員登記をすれば良いこととなります。役員の任期を延長するには、株主総会において、定款に記載された役員の任期規定を10年に変更する決議を行います。ほとんどのケースではそのことのみで足り、別途法務局へ登記申請することは余り無いと思います。
家族経営をされている会社様ですと、役員の任期は10年であることが多いと思います。他方、そうではない会社の場合、人事管理を行いやすくするため、2年あるいは1年に任期を設定していることが多いです。後者のような会社様の場合、上記休業中の負担軽減のほか、役員人事検討の機会確保の視点も併せて検討する必要があろうかと思います。
徳丸修一