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2021.04.23 

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代償分割

 相続人が複数に及ぶ場合、遺言書が無ければ法律で定められた相続人全員の協議によって、遺産の帰属を決めます。法定相続分などを参考に平等に分割すれば公平な結果と言えますが、必ずしも一律平等に分配すべきことまでは求められず、特定の遺産をある相続人が取得する代わりに、その遺産持ち分に見合う金員等を他の相続人に分配する方法もあります。一般に代償分割と呼ばれています。例えば不動産を相続する場合に、自分が単独所有することに対し、他の相続人に金員や固有の他の不動産を譲渡するような方法です。このような方法でも、価値的には公平な分配が実現されていると言えます。また、不動産などでしたら所有者が細分化されず、その後の売却等の手続きを行いやすい、といったメリットも考えられます。
 もっとも、代償分割を内容とする遺産分割協議が成立したとしても、代わりに支払うべき代償金の支払い目途が立たなければ、他の相続人は到底納得できるものではありません。そこで、実際に代償分割を締結するにあたって、代償金を支払うこととなる相続人の、支払い能力を確認しておくことが大事です。
 代償金の支払い方法は一括でも分割でも話し合いで決まればそれで有効ですが、分割払いですと支払い期間が長期化するので、通帳の残高証明、買主の買い付け証明などを求め、一層しっかりと確認しておく必要があります。可能な限り、一括支払いによるべき内容で協議をまとめた方が良いです。
 また、それでも支払い能力に不安がある場合には、連帯保証人を立ててもらったり、相続不動産に抵当権を設定しておくという方法もあろうかと思います。
 無事、相続人間で代償分割の方法によることで協議が整った場合、代償金の支払い受領後、不動産の相続登記を申請します。代償分割による場合でも、遺産分割協議の成立により、被相続人から直接所有権を相続することとなりますので、相続を原因とする所有権移転登記を行うことができます。

 代償分割も利用次第では円満な解決方法になりますが、代償金の支払いが遅れますと一気に紛争が顕在化してしまうリスクがあります。その意味で代償分割を用いた遺産分割協議は、慎重に進めるべき相続手続きと言えるでしょう。
                                  徳丸修一
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