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2021.07.02 

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数次相続概論

 遺産の中でも不動産に比較的多いのですが、相続登記をせずに長年月が経過し、孫の代になっているケースがあります。令和3年現在、相続登記は義務ではないので、放置していてもペナルティが発生するものではありませんが、昭和の初めころの相続登記から行うとなりますと、戸籍収集や相続人の特定、更にはもはや他人同士とも言える相続人同士の話し合いによる遺産分割協議を要するなど、事実上相続登記を行うことが困難となってしまいます。相続登記は中間者の相続発生を無視することはできず、時系列に従って、先々代、先代そして現在の相続人へと、その当時の民法の規定に照らして相続手続きを行わなければなりません。もっとも、遺言書に別段の定めがあれば、遺贈などを理由に名義を移転することは可能です。
 先々代の相続手続きが完了する前に先代の相続が発生してしまったような場合を、数次相続と言ったりします。このような場合、先々代の名義になっている不動産について、先代の子などの法定相続人が「先々代の相続人たる地位」を先代から相続し、遺産分割協議を行います。もし、自分を所有名義人としようとする場合は、先に見たとおり、まず遺産分割協議の内容として(亡)先代の所有とする遺産分割協議を成立させ、その後、更に先代の相続手続きとして、先代の相続人らによる遺産分割協議を行って自己名義とすることとなります。遺産分割協議の内容によっては、遺産分割協議書1通で先々代及び先代に関する遺産分割協議が成立していると評価できる場合もあるかもしれませんが、基本的には2段階の、2回の遺産分割協議をそれぞれ成立させる必要があります。遺産分割協議の内容は、読み手によって解釈が変わってしまうこと避けるべきですので、できる限り、明確でシンプルな協議書であるべきと考えられます。
 このような数次相続に基づいた2段階の相続手続きをする場合、一旦亡くなった先代名義で相続登記をすることも可能ですし、やや特殊な申請の仕方により、先々代の名義から直接現在の相続人へ、1件の申請で相続登記を行うことも可能です。この場合、登録免許税は1件の申請分で足りることとなりますので、手続きコストを抑える意味でも1件で申請できるのか、要件を検討してみた方が良いです。お近くの司法書士事務所などにご相談頂けましたらと思います。
                                     徳丸修一
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