相続手続きは一生のうちに何度もあるものではありませんが、複数回経験することもあろうかと思います。相続手続きは亡くなられた方を「被相続人」とし、この被相続人ごとに必要書類を揃え、手続きを進めていくこととなります。
金融機関や法務局へ相続手続きを行う場合、できるだけ最近の情報を提供した方が望ましいとも言えるでしょうが、戸籍等のついては、特に有効期限は設けられていませんので、かなり前に取得した戸籍等であっても、相続手続きに再利用することは可能です。もっとも、相続人である子が婚姻した等、取得時点から事情が変更されていることもあり得ます。このような場合には、やはり今現在の状況を正確に反映した戸籍等を取得し直す必要があります。戸籍の種類の中に「(改製)原戸籍謄本」、「除籍謄本」といったものがあります。これらは、過去の親族関係を記録していますが、今現在では閉鎖され、新たな事項を書き加えることが出来ないようになっていますので、これら「(改製)原戸籍謄本」、「除籍謄本」などは、今現在の相続手続きでも再利用することが十分にできると考えられます。
ただ、少し注意が必要なのは、戸籍等の有効期限がないとする扱いは、相続関係を証する書面として利用する場合に当てはまるものです。例えば、親権者が未成年相続人の代理で手続きをしようとする場合は、作成後3か月以内に作成された戸籍等で代理権限を証明しなければならない、など、求められる書面の種類、用途によっては有効期限が設定されることもあります。
戸籍の取得収集は、人によっては多くの時間と必要を費やすこともあります。家に保管している従前の戸籍等を再利用することができれば、いくらか相続手続きの負担軽減、スピードアップにつながると思います。
徳丸修一