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2021.07.30 

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遺産分割協議に参加する者

 相続人が複数人いる場合、特に遺言で別段の記載がない限り、相続人全員による遺産分割協議により、相続人の中から遺産の引継ぎ人を決めていきます。遺産分割協議は全員参加しなければならず、一部の相続人を外した協議は無効であり、効力が発生しません。
 遺産分割協議の参加者は多くの場合、配偶者や子あるいは兄弟姉妹などの法定相続人ですが、ケースによっては例えば以下のように法定相続人以外の者が遺産分割協議に参加すべき場合があります。

1.未成年者の法定代理人又は特別代理人
 未成年者の法律行為は原則的に一定の制限を受けていますので、単独で有効に遺産分割協議に参加することができず、代わりに法定代理人である親権者や未成年後見人などが代わって協議に参加し、その協議の結果が未成年者に発生することとなります。ただし、未成年者と親権者などがともに相続人に該当しますと、その親権者による遺産分割協議への参加は、一般的に利益相反関係を生じさせ、親権者等が未成年者にとって不利な協議を成立させてしまうおそれがあります。従いまして、このような場合には、親権者や未成年後見人ではなく、特別代理人や未成年後見監督人が未成年者の代理人として協議に参加することとなります。
 ※ちなみに、児童福祉施設の長も、他に親権者などがいない場合に親権を行使できる場合がありますので、児童福祉施設の長も親権者として協議に参加するケースがあります。

1.被後見人の後見人、後見監督人又は特別代理人
 一定程度の判断能力が低下したことにより、相続人に後見人がついている場合、後見人が法定代理人として、遺産分割協議に参加することになります。後見人も相続人の一人であったりしますと被後見人との間で利益相反関係が生じますので、後見監督人あるいは裁判所に選ばれた特別代理人が遺産分割協議の参加者となります。

1.不在者財産管理人
 本人が行方知れずとなり、利害関係人などの申立により家庭裁判所が不在者財産管理人を置いた場合、その不在者財産管理人は本人に代わって財産の維持保存行為を行います。不在者が相続人の一人であることが判明すれば遺産分割協議に参加します。もっとも、その参加は財産の維持保存行為の範囲を超えることになりますので、協議参加前に家庭裁判所の許可を得ておく必要があります。

1.包括受遺者
 法定相続人では無かったものの、遺言により相続人の一人として地位を認められた包括受遺者は、他の相続人と同一の権利義務を有します。従いまして、割合的な相続分を有する者として遺産分割協議に参加することとなります。

1.相続分の譲受人
 相続人としての地位を、もともとの法定相続人から譲り受けた者も、遺産分割協議の当事者となります。

1.委任による代理人
 あと、相続人から委任を受けて遺産分割協議に参加することも考えられます。一般的ではありませんが、弁護士の先生が依頼人である相続人から受任して参加するケースをイメージすると分かりやすいと思います。

 遺産分割協議は、ほかの会議や決議と異なって一部不参加などが許されず、また多数決に基づいて強制的に協議を成立させるものでもない点において、やや特殊な話し合いと言えると思います。また、身近な方々による遺産分割協議ばかりではなく、先に見ましたように、全く今まで知らなかった第三者が相続財産をめぐって遺産分割協議に参加することもあります。
                                     徳丸修一
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