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2021.08.13 

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遺言者より先に死亡した場合

 遺言者がAさんに遺産を相続させる、あるいは遺贈する内容の遺言書を作成していたとしても、遺言者より先にAさんが亡くなってしまった場合、原則としてAさんに相続させる、あるいは遺贈する内容の遺言部分は、効力が発生しないこととなります。このような場合、Aさんに配偶者や子などの法定相続人がいたとしても、Aさんの相続人らが遺言内容に従って遺産を譲り受けるわけではありません。遺言者の遺言は効力が生じないことから、民法の規定に従って、法定相続人らによる相続が発生することとなります。結果的に遺言書が活かされないことになってしまいます。
 もっとも、遺言の内容はその文言のみにとらわれることなく、遺言者の意図や作成時の客観的状況なども総合的に考慮してその内容を解釈することも許容されていますので、遺言内容の解釈として、例えばAさんが先に死亡した場合にはAさんの相続人が相続する趣旨の遺言であることが認められれば、Aさんの相続人らが当該遺言に基づいて遺産を承継する可能性はあります。ただ、遺言という人生最後の意思表示を行うのに、解釈の余地を入れるような曖昧さの残る遺言書の作成は避けた方が良いです。後日、相続人や受遺者らの遺言内容を巡る争いの火種にもなりかねません。
 もし、Aさんが先に亡くなった場合、次の受遺者として考えておられる方がいるのであれば、端的に遺言書にて「Aさんが遺言者より先に死亡した場合は、私の財産はBさんに相続させる(遺贈する)。」というような遺言を用意しておいた方が良いです。別途遺言書を用意しておく必要はなく、同じ遺言書の中に、場合分けをして記載すれば良いです。

 遺言書に解釈の余地があることで相続手続きがスムーズに進むこともありますが、逆に当事者間で解釈が異なってこじれてしまうこともあり得ます。遺言書の作成は、できる限り明確に、そして様々なケースを想定して具体的に記載することをお勧めします。   徳丸修一
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