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2021.08.20 

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二重資格の相続人

 相続が発生すると、配偶者や子、あるいは兄弟姉妹などの地位に基づき、相続人となります。そこで、身分上の関係が重複しているような場合、果たして重複する相続人としての資格はどうなるのか、という問題があります。
 基本的な考え方としては、それぞれ異なる立場で相続している以上、重複する相続人としての地位は相互に併存し、それぞれの立場で算定される法定相続分を合算して有する、と考えられています。もっとも、過去の事例を紐解きますと必ずしもそうではないケースもあるようです。
 まず、併存していると考えられたケースとして、被相続人に子A、子B、そして子Aの実子Cが被相続人の養子でもあるときに、被相続人の相続開始前に既に子Aが死亡していた場合、被相続人の法定相続人は子Bと、子Aの代襲相続人としてのC、そして養子としてのCとなります。Cは相続人として二重に資格を有しています。この場合、Cは代襲相続人として3分の1、養子として3分の1、合計3分の2の法定相続分を有します。
 次に、併存していないとされたケースとして、実子Aが養子Bと婚姻しているときに(AB間に子はいない)、被相続人が実子Aである場合、先の基本的な考え方からすれば、Aの配偶者としてのB、Aの兄弟姉妹としてのB、2つの相続人たる地位を有しているように考えられますが、このような場合、Bは配偶者としての相続分のみを有し、兄弟姉妹としての相続分を有しない、とされました。かなり古い事例ですので今現在もあてはまるのか不明な点はありますが、少なくともこのケースでは結局相続人はBしかいなかったので、どのような考え方に拠ったとしても結論は異ならなかったとも言えるでしょう。

 相続人が子や兄弟姉妹など、どのような立場で相続資格を有しているのかは、戸籍を見て確認していきます。相続人としての資格が重複している場合はそれほど多くはありませんが、もしそのようなケースである場合、先に見ましたように法定相続分がどれ程になるのかということに注意しなければなりません。また、二重資格の相続人が相続放棄をする場合、果たして全部の地位を放棄するのか、それとも各地位を部分的に放棄できるのか、という問題もあります。後者についてはまた別の機会に述べたいと思います。   徳丸修一
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