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2021.12.09 

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証人の要件~公正証書遺言~

 公証人の先生に遺言書を作成してもらう場合、遺言者と公証人の間でどのようなやり取りがされたかを確認するため、遺言書作成の際、証人2人以上の立会いが必要になります。公正証書遺言は遺言者と公証人の二人のみで成立するものではありません。
 証人は、遺言者が人違いでないことや、確かに遺言意思に基づいた、正確に作成された遺言書であることを立会いの際に確認します。積極的に異議を述べたりするような場面はなく、遺言者と公証人のやり取りを隣でじっと見ている、ということがほとんどです。遺言者と公証人のやり取りが終わったら、遺言者とともに、証人として遺言書に署名押印を行います。
 公正証書遺言の証人には誰でもなれるものではなく、一定程度の責任ある判断能力を備えていることを要します。また、遺言内容に強い利害関係を有する可能性のある者は証人になることができません。具体的には、まず未成年者は証人になることができません。また、推定相続人や受遺者、これらの配偶者及び直系血族(父母、子など)もなることはできません。あと、公証事務の中立性、廉潔性を保つため、公証人の配偶者や一定の親族、従業員なども証人となれません。この点で言いますと、証人は公証人の方で用意してくれるものではなく、遺言者自身で探しておく必要がある、となってきます。弁護士の先生や司法書士がお手伝いさせて頂きます場合は、弁護士・司法書士自らが事務所職員と共に証人として立ち会うことが多いです。
 証人が2人以上揃っていなかったり、以上のような適格を欠くとされる者がいた場合、せっかく作成された遺言書は、原則として全部無効となります。相続が発生した際に効力を生じない遺言書となってしまいます。ただ、3人以上の証人がいる場合に、少なくとも2人は適格な証人資格を有した上で、遺言内容が左右されたりしたなどの特段の事情が無い場合、例外的に無効とはならない、と考えられているようです。通常、証人は必要最低人数である2人であることがほとんどですし、遺言者と公証人、そして2人の証人以外の者はその場に同席しない方法で行われています。公証人が遺言者宅や施設に出張して遺言作成事務を行う場合などは、公証人の先生のほか、公証人の先生の書記、事務員の方も同席することがありますが、先に見ました通り、事務員の方は証人になれませんので、証人としてカウントできない、ということになります。

 公正証書遺言は公証人の先生の手によって作成されるものであるため、極めて高い証拠価値、信用力を有しています。作成費用はかかりますが、それに見合う遺言書が出来上がると思いますので、選択肢の一つとして検討してみても良いと思います。  徳丸修一
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