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2020.10.30 

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第三者のためにする契約

 相続された財産の中に土地や建物がある場合、もはやその土地建物を使用しないなどの理由により、現金化して共同相続人で分配する、といったことがあります。買い手として不動産会社が名乗り出てくれることもあります。
 このような不動産売買の場面で、相続人は確かに買受け人である不動産会社から代金を受領するものの、名義を不動産会社ではなく、転売先であるエンドユーザーに直接移す方法が採られることがあります。このような契約方法を、「第三者のためにする契約」と言います。
 「第三者のためにする契約」は、相続人と不動産会社との売買契約書において、不動産会社がエンドユーザーを指定する権利を有し、その指定権行使によって指定されたエンドユーザーは、相続人または不動産会社に対し、自己が最終の所有者となることの意思表示を行うことで、直接、所有権を相続人からエンドユーザーへ移転させる、といった旨が明記されています。
 このような契約内容に基づいて、不動産会社から相続人へ売買代金が支払われます。また、不動産会社とエンドユーザーとの間にも別途売買等の契約が締結され、エンドユーザーから不動産会社へ売買代金相当額の対価が支払われることとなります。実際の決済の場では、同日中にエンドユーザーから不動産会社、そして相続人へと2回連続して代金が移動することが多いです。実質2回の取引が成立していますので、取引時間もそれなりに掛かったりします。
 不動産登記簿には、相続人からエンドユーザーへ、売買を原因として直接名義が移転しているように記録されます。

 「第三者のためにする契約」は、不動産会社の名義移転を省略し、登録免許税を脱法するような、いわゆる「中間省略登記」にならないよう気を付けなければなりません。売買契約書には上記のような手続きの流れが明記されているかどうか、そして不動産会社の担当の方からきちんと説明を受けたかどうか、しっかりと確認した上で取引に臨む必要があります。
                                       徳丸修一
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