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2021.03.12 

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会社の廃業(解散)

 世の中の社会経済の情勢や後継者がいないなどの理由により、会社を畳んで廃業を選択せざるを得ないこともあり得ます。税務署や市区町村等に異動届出書を提出し、一時的に休業する場合は一応会社として存続していますが、廃業を選択した場合には、会社は解散し、最終的に清算手続きを経た上で消滅する点に大きな違いがあります。
 廃業を進める場合、法的に大きく3つの手続きがあります。まず、株式会社であれば株主総会を開催し、解散する旨の決議を行います。会社が解散する事由は幾つかありますが、基本的に株主総会で決議を行い、株主の意思決定により解散する場合が多いと思います。解散すると、会社はいわゆる「清算状態」になり、それまでの通常の事業活動・商業活動を行うことが認められなくなります。取締役や代表取締役は退任させられ、代わりに清算人、代表清算人が会社役員として登場します。(代表)清算人は、株主総会にて解散決議をした際、一緒に選任をしておきます。元々の代表取締役のみが清算人として選任され、他の取締役はそのまま退任し、会社から去ることが多いと思います。ちなみに、監査役は解散しても当然に退任せず、辞任等が無い限り、会社役員として残ります。
 清算人は、会社を終了させるための事務を行っていきます。まずは、会社の財産状態を調査して財産目録を作成し、株主総会にて承認決議を得ます。
 また清算人は、利害関係人である債権者に解散の旨を知らせるため、2か月間以上にわたり、官報に解散したことなどを掲載します。官報への掲載申し込みは、取次を行ってくれる官報販売所や書店などに所定の費用を支払って行います。お取引先など、既に知れている債権者の皆さんに対しては、官報掲載の他、個別にお知らせを行います。この債権者への周知期間である2か月の間、基本的に債務の弁済を行うことはできません。債権者同士はお互い平等ですので、特定の債権者のみ優先的に弁済を受けることはできないことを理由とします。もし返済を必要とするならば、裁判所から弁済の許可を得て行うこととなります。
 2か月間以上の公告期間が経過した後、債権の取り立てや債務の返済などを任意の方法で行います。残余財産がプラスであれば、株主に分配されることになります。債務の方が多い場合には、債権者から債権放棄などをしてもらいます。もし債務免除益が発生する場合ですと、清算結了することはできないので、例えば繰越欠損金を用いて残余財産がプラスマイナスゼロの状態に持っていくことが多いと思います。

 残余財産の分配などを終え、会社の財産状態をゼロにしたところで、その旨の決算書を作成し、株主総会にて清算結了の承認を得ます。それにより会社は法的に消滅することとなります。あとは確定申告等、税務関係の手続きがあります。

 会社の解散と清算人就任、そして会社の清算結了、これらは管轄法務局へ登記申請を必要とします。もし、ご検討中ということでしたら、遠慮なくお声掛けください。
                                     徳丸修一
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