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2021.10.11 

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遺言執行者の仕事

 遺言書が作成されている場合、その遺言内容を実現すべき者は、原則として相続人になります。しかしながら、遺言書に遺言執行者が記載されている場合や、家庭裁判所に申立てを行って遺言執行者を選任してもらった場合、遺言内容の実現は、その遺言執行者が行うこととなります。
 遺言執行者に選任された者は、一応、就任しない選択肢もありますが、相続人や利害関係人から就任の可否を問われて何もせずそのままでいると、就任を承諾したものとみなされることになります。
 遺言執行者がその任務に就いた場合、まず遺言内容を相続人にお知らせしなければなりません。相続人は、相続財産等について大きな利害関係を有しますので、実際にその相続手続きを行う者の存在を知っておく必要がありますし、どのような相続手続き内容になるかについて関心を有すべき者と言えるからです。遺言執行者の執行行為は相続人に直接効果が発生するとされ、言わば、遺言執行者が相続人の代理人のような立場で相続手続きを行っていることとなります。
 この点で遺言内容によっては相続人が遺産を相続しない場合や、更には遺留分を有しない法定相続人である兄弟姉妹が相続人であった場合でも、遺言執行者はその相続人に遺言内容を通知しなければならない、と解されています。一見、遺産を取得する見込みのない相続人には具体的な利害関係が無いようにも考えられますが、過去の裁判例などによりますと、相続人は一般的に、遺産を取得できない、という遺言内容を確認する法的利益を有していることを理由に、原則的に特に区別されることなく通知を受けることができることとされています。
 また、遺言執行者は相続財産の目録を作成し、相続人に交付しなければなりません。このことも上記と同様、遺言執行者は相続人の代理人のような立場で職務を執りますので、執行すべき対象財産を適切に相続人に報告しておく必要があるためです。このことはたとえその相続人が具体的に遺産を取得しない場合でも同様と考えられます。

 遺言執行者は相続人に代わって遺言内容を実現する任務を負っています。場合によっては相続人自身の考えに沿わない遺言内容であることもありますが、遺言について何かしらの法的主張がない限り、遺言執行者は粛々と相続手続きを進めていくこととなります。    徳丸修一
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