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2020.06.12 

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相続人による話し合い(遺産分割協議)

 相続人が複数になる場合、遺言がなければ、相続財産をどのように分配するか、全員で話し合って決めることができます。話し合いには期限がありませんので、ずっと話し合いをしないままのお客様もいらっしゃいますが、どちらかと言うと、話し合いで決めていくお客様の方が多いです。
 話し合いは、戸籍等でしっかりと証明できる相続人全員による必要があります。一人でもかけると話し合いの結果は無効です。話し合いの方法は、全員が一か所に集うことまでは要しません。電話やメールでのやり取りでも可能です。もっとも、話し合いの結果を相続手続きに反映させようとする場合、内容を記載した書面が必要です。書面が無くとも一応話し合いは有効ですが、その内容を法務局や金融機関などに証明するため、相続人全員が個人の実印で押印された協議書を作成します。この協議書には実印が押されていますので、各相続人の印鑑証明書も一緒に提出します。昨今、印鑑を不要とすることも考えられていますが、今のところ、印鑑を用いた手続きになっています。
 各相続手続きにはこの協議書、印鑑証明書、そして相続関係を証明するための戸籍等を利用することが一般的です。
 話し合いの内容は、各相続人に平等に分担させる内容でも良いですし、ある特定の相続人にのみ相続させ、他の相続人は一切相続しない、といったものでも有効です。相続人の皆様がそれぞれに納得した結果ですので、平等、公平であることまで要求されていません。
 相続人の話し合いにより、不動産はこの相続人が取得し、預貯金はあの相続人が取得する、ということもできます。一部分の財産についてのみ話し合いで決めておくことも可能です。債務の負担については、これも同じように話し合いで決めることができますが、債務の場合、債権者の承諾があって初めて、その債権者に対して債務負担に関する協議内容を主張することができることとなります。

 もし、話し合いが上手くいかない場合は、利用できる制度として、家庭裁判所での遺産分割調停手続きがあります。家庭裁判所の裁判官と調停委員が相続人の間に入って、各相続人の主張をできるだけ尊重できる解決案を探していきます。これでも結論に至らず調停不成立となった場合は、審判手続きに移行し、おおよそ、法律上決められた相続分に従った結論が出されることとなります。審判の結果は、一応公平な結論と言えますが、もしかすると相続人の皆様の納得できない結果になっているということもあり得ます。
 ちなみに、相続人は、再協議を行うことができます。相続人全員の話し合いで前回の協議結果を取り消し、新しい話し合いの内容を決めることができます。
 
 遺産に関して話し合うべきことは、お客様ごとに実に様々です。遺産承継業務を通じ、相続人の皆様の満足に少しでも貢献できればと思っております。
                                           德丸修一
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