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2020.07.17 

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相続放棄には期間があります

 相続人が相続放棄をしようとする理由は、人それぞれです。返済仕切れない多額の債務を相続してしまう場合、生前からほとんど関りが無かったことから、まったく相続に関心が無い場合など、色々です。
 相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったものとみなされ、財産を一切相続しないですし、債務も一切引き継がないこととなります。他の相続人の話し合いにも参加できません。また、いったん相続放棄をしてしまうと、基本的に撤回することができません。
 この相続放棄には、申し出期間が定められています。相続放棄をしようとする場合、相続の発生を知り、まさに自己が相続人であることまでを知った時から、原則3か月以内に家庭裁判所で手続きを取らなければなりません。亡くなった事実は知っていたとしてもそれだけでは期間が満了するものではなく、自分が相続人であることまで知って初めて3か月の期間がカウントされます。この期間が守れなかった場合は、相続を承認したものとみなされ、裁判所の手続きを利用した相続放棄はできなくなってしまいます。
 中には果たして相続財産や相続債務がどれだけあるのか、良く分からない場合もあります。そのような場合には3か月が経過してしまう前に家庭裁判所へ期間を数か月伸長する申し出を行っておきます。その間に相続財産を調べて、相続するかそれとも放棄するかを決めることとなります。
 相続放棄の申し出を行った場合、しばらくして家庭裁判所の方から、相続放棄を受理した旨の通知が届きます。これは、他の相続人や債権者に対して、自分は相続放棄をしたので、もはや関係ないことを主張できる大切な書面ですので、保管しておいて下さい。

 相続放棄の期間である3か月は、かなり短いと思います。相続放棄をしたいが、既に期間満了を迎えてしまっていた、ということもあります。そのような場合には、相続人の話し合いで、その放棄を望んでいた相続人は、何も相続しないということを決める方法が考えられます。もっとも、この方法による場合、相続債務について債権者の承諾が必要になりますでしょうし、相続人が自分一人の場合には難しい方法になります。

 相続放棄は、その利用の仕方次第によっては相続人を救済できる制度でもあります。3か月という短い期間になっていることからすると、身近な方の相続に無関心であることはリスクの高いことであるとも言えます。相続しようかどうか迷っていらっしゃるのであれば、取り敢えず熟慮すべき期間として、期間伸長の申し出をしてみてはいかがでしょうか。
                                            德丸修一
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