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2020.07.24 

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贈与の方法

 将来の相続などに備えて、今の段階から自分の財産を数回に分けて贈与する方法があります。
 不動産など、比較的に高い価値を持つ財産を個人間で贈与する場合、一定の価額を超える部分には贈与税が発生するため、贈与税が発生しないように、あるいは発生するとしても低額で済むように、毎年1回ずつ、数年に渡って一定割合を贈与します。贈与税の基礎控除額は、年間110万円とされていますので、毎年110万円前後の割合で贈与し続けることとなります。贈与税の基礎控除額を超えない場合、原則として申告は不要です。もっとも、この方法を利用したとしても、相続開始前3年以内の贈与については相続税の算定の基礎としますので、結果的に相続対策にはならなかった、ということもあり得ます。
 贈与は契約の一種です。譲り渡したい人と譲り受けたい人との合意(約束)で成立します。贈与したい人の意思のみで成立しない点は、遺言と異なる点です。
 贈与契約は、双方の口約束でも一応成立しますが、形に残らないため、その贈与に基づく各手続きを利用するためには、書面で契約書を作成した方が良いです。例えば法務局への不動産登記手続きの場合、贈与したい不動産の明記された契約書を提出します。
 また、1年に一回ずつの贈与契約はそれぞれ別個のものですから、最初にまとめて一回の契約で済ますのではなく、毎年定期的に贈与契約を締結し、各年ごとに契約書を作成します。そして不動産の場合であればその都度、法務局へ登記申請することとなります。

 先に、贈与契約は双方の合意(約束)により成立すると話しました。そして贈与税が発生するかどうかを考えなければならない、ということでした。この点、さらに注意を要しますのが、実際には贈与契約を締結しているわけではないが、贈与とみなされて贈与税の対象になる場合があることです。例えば、他の人が保険料を支払ってくれている保険金などが該当します。そのため、ある年については思わぬ形でみなし贈与が発生したため、その年の他の贈与は控えよう、などと考えることもあるでしょうから、年末まで様子を見て贈与契約をするかどうか決める、ということでも良いのではないか、と思います。

 数年にわたって贈与を継続することは、なかなか根気のいることではありますが、早いうちから将来の相続などに備える一つの方法として、検討の余地があろうかと思います。                      
                                       德丸修一
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