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2021.04.30 

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一人で相続登記

 相続財産の中に土地や建物がある場合、最終的には法務局へ相続登記の申請を行い、不動産の登記名義を変更する手続きを行います。相続人が一人の場合には、その相続人名義に登記しますし、複数の相続人がいる場合には、通常、相続人同士の話し合い、遺産分割協議を行って、その話し合いの結果に基づいて相続した者の名義へ変更する登記手続きを行います。
 相続人が複数人いる場合には遺産分割協議の成立後に相続登記を行うことが多いですが、遺産分割の成立とは関係なく、法律上の相続人全員の名義にする不動産登記も可能です。遺産分割協議がなかなか進まない場合などに自己の法定相続持分を保全する意味合いで行われたりします。
 この法定相続人全員名義の相続登記は、相続人全員で行う必要はなく、そのうちの一人の相続人の申請によって行うことができます。この方法により相続登記を行った場合、申請した相続人には「登記識別情報通知」(昔の「権利証」に該当するもの)が発行されますが、他の相続人にはそれが発行されません。登記識別情報通知が発行されるのは、法律上、新たに登記名義人となった申請人とされていますので、新たな登記名義人になったものの、申請していない相続人には発行されないこととなっています。もっとも相続人として名義変更は行われていますので、相続人所有者の一人として第三者へ対抗できます。この点は登記識別情報の通知された申請相続人と違いはありません。

 この法定相続人全員の名義で登記した場合、後に成立した遺産分割協議の内容と異なるのであれば、協議内容とおりに名義変更登記を行います。結果的に持分を取得しない相続人から、取得する相続人へ、「遺産分割」を原因として相続共有持分の移転登記申請を行います。
 そうしますと、相続登記を実質二回行いますので、その分登記の際に納付すべき登録免許税も、遺産分割後に一回で相続登記申請する場合と比べて割高になります。それでも、ケースによっては、自己の相続する権利を保全するなどの意味で利用を検討する余地はあろうかと思います。
                                 徳丸修一
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